パルテノン神殿と女神像を3Dで再現

パルテノン神殿は、紀元前5世紀の古代ギリシア、ペリクレス政権下で建設されたアテネ市民の誇り高き建築です。
アクロポリスの丘に位置し、ギリシア神話に登場する戦いと知恵の女神アテナを祀る神殿として知られています。
建築様式はドーリス式(古代ギリシア建築における建築様式のひとつ)。
その完璧な比例と精緻な装飾から、古代建築の最高傑作と評されてきました。
この神殿の特異性を際立たせていたのが、その内陣(セラ)に置かれていた巨大な「アテナ像」の存在です。

この像は彫刻家フィディアスの手によって制作された、高さ12メートルにもおよぶ金と象牙の神像で、都市そのものの栄光を象徴するものでした。
そしてパルテノン神殿は、これまでの一般的なイメージでは、内部は白く明るく、太陽の光が差し込む美しい場所だと考えられてきました。
しかし、デ・ララ博士はこの常識に挑みました。
まず神殿全体の3Dモデルを構築し、地形、建材、建築構造、天体の位置など、あらゆる要素を反映した仮想空間を再現。
そして、物理ベースの照明シミュレーションを行うことで、1年を通じて神殿内にどのような自然光が入り、どのように像が照らされたのかを分析しました。
使用された3D技術は、実世界の光の挙動を再現するアルゴリズムであり、太陽の高度や角度、光の反射率などをリアルに再現することで、建築空間内の明暗を測定しました。
これは単なる建築史ではなく、天文学、物理学、そしてデジタル技術の融合による、まさに21世紀的な古代研究だと言えます。
そしてこの研究により、これまでの常識を打ち破る事実が明らかになりました。